東洋医学から見た柿の健康効果

「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」。
この正岡子規で有名な句が作られた日にちなみ、10月26日は「柿の日」の記念日です。
この時期は、安曇野の田園でも稲刈りを終えた田んぼの向こうに、枝もたわわに実る柿の風景がいたるところに見ることができ、秋の美しい風物詩になっています。

「柿が赤くなれば医者が青くなる」。
柿は、昔から健康効果が高い果物として重宝されてきました。
その柿は、東洋医学では体の余分な熱のぼせを冷まし、潤いを補い、血を整える食材として知られています。
乾燥が増して咳やのぼせが出やすい秋にはぴったりの薬膳素材ですね。
柿は、果実だけでなく、皮・葉・ヘタ・タネまで丸ごと活かすことができる食材なのです。
◎柿の健康効果
・柿の実の効能
肺と胃を中心に、乾燥せきやのぼせ、二日酔い、口の乾き、鼻血・痔などの軽い出血の症状に効果が期待できます。
熟した柿には潤いを補い、干し柿や渋柿は渋み(タンニン)によって、下痢や出血を抑える力があります。
ただし、冷やす性質が強いため冷え症や胃腸の弱い方は食べ過ぎないようにします。
・柿の皮にも健康効果
柿の皮にはビタミンCとポリフェノールが豊富で、抗酸化・免疫サポート作用が期待できます。
肌の老化予防、血管の健康維持、高血圧対策のサポートをしてくれます。
干して湯に入れて香りを楽しむ「柿の皮風呂」。
体をほんのり温め、肌をなめらかにしてくれます。
料理では、きんぴら・大根なます・炊き込みご飯の甘み付けに活躍します。

・ビタミンC豊富な柿の葉
柿の葉には、柿の実の20倍以上も熱に強いビタミンCが含まれています。
カフェインも含まないので、お子様からお年寄りまで安心して飲むことができます。
柿の葉は、ほてりやのぼせ、鼻血・痔ろう・不正出血の補助、肌や粘膜を引き締めるので化粧水にも使われています。血管の負担を軽減し、抗酸化・動脈硬化予防にも効果的です。
薬膳では、柿の葉茶は胃腸にもやさしく妊婦さんにもOKです。

・柿のヘタはしゃっくりの特効薬
ヘタは、しゃっくりや逆流性の嘔吐に。漢方では柿帯湯(していとう)がしゃっくりの煎じ薬として有名です。
・タネは黒焼きに
柿の種は黒焼きにして粉末にしてはちみつで練って食べると認知症改善の効果が期待できるそうです。

◎秋の女性にこそ柿の力を!
さらに柿は女性の健康をサポートしてくれます。
更年期やのぼせ、季節の変わり目の咳、血圧の乱れが気になる方にオススメ。ただし、冷えの強い方は控えめに。食後に少量摂るのが安心。
秋の味わいを楽しみながら体の内側から整えることで女性の身体は変わっていきます。その変化に寄り添う食材として柿は強い味方になってくれます。

◎「柿タンニン」とウィルス対策
柿タンニンは二日酔いの予防効果もあります。
また、柿タンニンには抗酸化作用や抗ウィルス作用など、アンチエイジングや感染予防効果も期待されています。
◎東洋医学の「秋」と鍼灸治療
東洋医学では、秋は五行である「金」に属し、臓腑では「肺」、感情は「悲」、気候では「乾燥」と深くかかわっています。
咳や鼻づまり・のどの痛み、皮膚のかゆみ・乾燥肌、便秘やお腹の張り、気持ちが沈みやすく、涙もろくなるといった症状がこの秋に出やすい不調です。
鍼灸治療では、肺を潤し、気の巡りを整えることで、肺の機能が高まり、免疫力が安定し、呼吸が深まって皮膚も健やかになります。
オススメのツボを紹介します。
・鼻や呼吸を助けるツボ:合谷・列缺(れっけつ)
・肺の乾燥を潤すツボ:太淵・中府
乾燥が深まる秋に、旬の柿で内側から肺を守り、鍼灸で巡りを整えて、日々の健康維持に役立ててください。


